暑くなる日本で、これから必要になる会社はどこだろう
最近、本当に毎年暑くなっているような気がします。
夏になると、天気予報では「危険な暑さ」という言葉を何度も耳にします。夜になっても気温が下がらず、エアコンを消すタイミングに迷う日も増えました。
最初は、年齢とともに暑さがつらくなっただけなのかなと思っていました。
ところが気象庁のデータを見ると、全国の猛暑日の年間日数は長期的に増加しています。最近30年間の平均は、統計期間の最初の30年間と比べて約4.2倍になっています。日本の年平均気温も、さまざまな変動を繰り返しながら上昇しています。
「やっぱり、気のせいではなかったんだ」
そう思ったとき、ふと別の疑問が浮かびました。
これだけ猛暑が増えていくなら、暑くなるほど必要とされる会社や仕事もあるのではないだろうか。
最初に思い浮かんだのは、エアコンや飲料、アイスクリームを扱う会社でした。しかし調べていくうちに、もっと広い意味での産業があることを知りました。
それが、変わり始めた気候の中でも暮らしや社会を維持するための「気候適応産業」です。
夏に売れる商品だけではなかった「気候適応」という考え方
地球温暖化対策というと、私は太陽光発電や電気自動車、二酸化炭素の削減を思い浮かべていました。
環境省では、温室効果ガスの排出を減らして気候変動そのものを抑えようとする対策を「緩和」、すでに起きている、または今後予測される影響による被害を減らす対策を「適応」と説明しています。
たとえば、猛暑が増えたときにエアコンを使うことも身近な適応の一つです。
けれども、社会全体で考えると必要になるものはそれだけではありません。
最近はホームセンターへ行っても、遮熱シートや断熱カーテン、窓に取り付ける日よけ用品が以前より目立つように感じます。スーパーやドラッグストアでも、冷感寝具や首を冷やす商品など、暑さ対策の売り場が大きくなっています。
私は最初、「暑くなるならエアコン会社かな」くらいしか思い浮かびませんでした。
でも、よく考えてみると、エアコンを効率よく動かすためには断熱性の高い住宅や窓が必要です。電力需要が増えるなら、電気を安定して届ける送配電設備や、余った電力をためておく蓄電池も欠かせません。
農業にも暑さの影響があります。
気温が上がり、雨の降り方が変われば、作物が育ちにくくなったり、水の管理が難しくなったりします。暑さに強い品種、温度や水分を管理するスマート農業、農業用の空調設備なども、気候変動への適応を支える技術です。
さらに、大雨や洪水への備えを考えると、排水設備、防災インフラ、気象予測、災害情報を届けるシステムも必要になります。
気候適応産業とは、単に暑い日に商品が売れる業界ではなく、暑くなっても、雨の降り方が変わっても、今までの暮らしをできるだけ続けられるように支える産業なのだと理解しました。
気候適応産業は投資テーマになるのか
このテーマを考え始めたきっかけは、「猛暑が増えたら、どんな会社の株価が上がるのだろう」という単純な疑問でした。
ただ、夏に売上が増える会社と、10年、20年先まで社会から必要とされる会社は、必ずしも同じではなさそうです。
飲料やアイスクリームは、暑い夏に売れやすい商品です。
一方で、高効率空調、断熱材、遮熱ガラス、蓄電池、水管理、コールドチェーン、防災設備、気象データなどは、社会の仕組みそのものを気候変動に合わせていく分野です。
経済産業省も、気候変動によって生じる社会課題の解決を「適応ビジネス」と捉え、その効果や貢献を分かりやすく示す取り組みを進めています。
ここで私は、もう一つ疑問に思いました。
「地球温暖化なら、冬はずっと暖かくなるのだろうか」
気象庁の観測では、日本では猛暑日や熱帯夜が増える一方、冬日の日数は減少しています。つまり長期的には冬も暖かくなる方向です。ただし、平均気温が上がったからといって、毎年の寒波や大雪がなくなるわけではありません。
そう考えると、気候適応は夏の暑さ対策だけの話ではありません。
急な寒波や大雪、集中豪雨、洪水、水不足など、これまでとは違う気象の変化に対応できる社会をつくることまで含まれます。
もちろん、気候適応に関係する事業を行っているからといって、その会社の株価が必ず上がるわけではありません。
需要が増えても、原材料費や開発費が膨らめば利益が残らないことがあります。優れた技術を持っていても、競合が多かったり、政策や補助金の変更に左右されたりする可能性もあります。
そのため、「猛暑関連株」や「気候変動関連株」という言葉だけで投資先を決めるのは危険だと思います。
それでも、会社を見る視点は一つ増えました。
暑い夏は正直好きではありません。
けれども、「暑くなっていく社会」を前提に考えると、これから必要になる仕事や会社も少しずつ見えてきます。
今年の夏に何が売れるかだけではなく、10年後、20年後の社会が何にお金を使わなければならないのか。
株価の動きだけを追うのではなく、これからの暮らしを支える技術やサービスという視点からも、企業を見てみたいと思うようになりました。
今回参考にした公的情報
気象庁「日本の気候変動2025」「大雨や猛暑日など(極端現象)のこれまでの変化」
環境省「緩和と適応」「気候変動適応法」
経済産業省「適応ビジネスの推進」「企業のための温暖化適応ビジネス入門」
※本記事は、公的機関が公開している情報をもとに、気候変動と産業について学んだ内容をまとめたものです。特定の企業や金融商品の購入を勧めるものではありません。投資を検討する場合は、企業の業績、財務状況、競争環境、政策の影響なども確認したうえで、ご自身の判断で行ってください。





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