マイホーム購入前に知っておきたい「団信」の仕組み

家を買う時、多くの人が最初に気にするのは、住宅ローンの金利や毎月の返済額かもしれません。

しかし、住宅ローンには、金利だけでは分からない大切な仕組みがあります。

それが「団信(だんしん)」と呼ばれる、団体信用生命保険です。

「団信とは、どのような保険なの?」

「住宅ローンを借りるなら、必ず加入しなければならないの?」

「一般の生命保険や、がん保険とは何が違うの?」

名前を聞いただけでは、どのような保障なのか分かりにくいと感じる方も多いのではないでしょうか。

もし住宅ローンを返済している途中で、契約者に万が一のことが起きたら、残された家族は返済を続けなければならないのでしょうか。

そのような時に、住宅ローンの返済負担から家族を守る役割を果たすのが団信です。

団信は、多くの住宅ローンで加入条件となっており、住宅ローンを選ぶ際には金利と同じくらい確認しておきたい重要なポイントです。

今回は、住宅ローンの団信とは何か、主な保障内容や保険料、がん団信やワイド団信との違い、ペアローンを利用する場合の注意点まで、初めての方にも分かりやすく解説します。

団信(団体信用生命保険)とは?

団信とは、「団体信用生命保険」の略称です。

簡単に説明すると、住宅ローンの返済中に契約者が死亡したり、保険会社が定める所定の状態になったりした場合に、保険金によって残っている住宅ローンが返済される保険です。

一般的な団信では、住宅ローン契約者が死亡した場合や、所定の高度障害状態になった場合などが保障の対象となります。

例えば、4,000万円の住宅ローンを借り、返済途中で2,500万円の残高が残っていたとします。

この時、契約者が団信の保障対象となる状態に該当すれば、保険金が金融機関へ支払われ、対象となる住宅ローン残高が0円になります。

その結果、家族は住宅を手放さずに済み、対象となった住宅ローンの返済も原則として必要なくなります。

団信が付いた住宅ローンは、住宅ローン部分について生命保険に近い役割を果たすと考えることもできます。

ただし、団信と一般の生命保険は同じものではありません。家族の生活費や教育費まで保障されるわけではない点には注意が必要です。

なぜ住宅ローンに団信が必要なの?

住宅ローンは、30年や35年という長期間にわたって返済することも珍しくありません。

その間には、病気や事故、収入の減少など、予想していなかった出来事が起こる可能性があります。

特に、家計を支えている人が亡くなった場合、残された家族には次のような負担が残ることがあります。

・住宅ローンの返済
・毎月の生活費
・子どもの教育費
・固定資産税や住宅の維持費
・将来の老後資金

団信によって住宅ローンが完済されれば、家族は少なくとも住居費の大きな負担から守られます。

小さな子どもがいる家庭や、夫婦のどちらか一方の収入に大きく依存している家庭では、特に重要な保障といえるでしょう。

団信に加入しないと住宅ローンは借りられない?

民間銀行の住宅ローンでは、団信への加入を融資条件としている商品が多くあります。

団信に加入するには、住宅ローン審査とは別に、保険会社による健康状態の審査を受ける必要があります。

健康上の理由などで団信に加入できない場合は、希望する住宅ローンを利用できないこともあります。

一方、住宅金融支援機構の「フラット35」は、健康上の理由などで団信に加入しない場合でも利用できる仕組みがあります。

ただし、団信に加入しなければ、契約者に万が一のことがあった際に、相続人が住宅ローンの債務を引き継ぐ可能性があります。

団信に入らずに住宅ローンを借りる場合は、民間の生命保険などで住宅ローン残高に相当する保障を準備できるか確認することが大切です。

団信ではどこまで保障される?

基本的な団信では、一般に次のような場合が保障対象となります。

・死亡した場合
・所定の高度障害状態または身体障害状態になった場合

ただし、「所定の状態」の基準は金融機関や商品によって異なります。

同じ団信という名前でも保障条件は同じではないため、契約前に保険金が支払われる条件を確認する必要があります。

近年は、基本保障に病気の保障を追加した団信も増えています。

がん団信

所定のがんと診断確定された場合に、住宅ローン残高の全部または一部が保障される団信です。

商品によっては、住宅ローン残高が0円になるタイプのほか、残高の50%が保障されるタイプもあります。

上皮内がんなど、一部のがんが保障対象外となることもあるため、「がんと診断されれば必ず0円になる」と考えず、対象条件を確認しましょう。

三大疾病団信

一般的に、がん、急性心筋梗塞、脳卒中を対象とする団信です。

ただし、がんは診断確定が条件でも、急性心筋梗塞や脳卒中については、一定期間の就業不能状態や所定の手術などが条件になる商品もあります。

八大疾病団信

三大疾病に加えて、糖尿病、高血圧症、慢性腎不全、肝硬変、慢性膵炎などを対象とする商品があります。

病名だけで住宅ローンが0円になるとは限らず、一定期間働けない状態が続くことなどが条件になる場合もあります。

団信の保険料はいくらかかる?

一般的な団信では、保険料を金融機関が負担し、利用者が別途支払わない住宅ローンもあります。

一方、がん団信や三大疾病団信、八大疾病団信などの保障を追加する場合は、住宅ローン金利に一定の金利が上乗せされることがあります。

上乗せ金利は商品によって異なり、保障内容が手厚いほど返済負担が増える可能性があります。

例えば、借入額が大きく返済期間が長い場合、わずかな金利差でも総返済額には大きな違いが生まれます。

団信を選ぶ際は、「無料か有料か」だけではなく、次の点を確認しましょう。

・どの病気が保障されるか
・住宅ローン残高の何%が保障されるか
・診断だけで対象になるか
・就業不能期間などの条件があるか
・金利が何%上乗せされるか

健康状態によって団信に加入できないこともある

団信は生命保険の一種なので、加入時には健康状態について告知する必要があります。

現在治療中の病気がある場合や、過去に大きな病気をした場合、服薬を続けている場合などは、審査結果によって加入できないことがあります。

このような方を対象として、一般団信よりも引受基準を緩和した「ワイド団信」を取り扱う金融機関もあります。

高血圧や糖尿病などの持病がある方でも加入できる可能性がありますが、必ず加入できるわけではありません。

また、ワイド団信では一般団信より金利が年0.2%から0.3%程度上乗せされるケースがあります。取扱いの有無や条件は金融機関によって異なります。

健康状態が心配な場合は、一つの銀行だけで判断せず、ワイド団信や団信に加入しなくても利用できる住宅ローンも含めて比較することが大切です。

ペアローンでは団信はどうなる?

夫婦がそれぞれ住宅ローンを契約する「ペアローン」では、原則として夫婦それぞれが自分の住宅ローンについて団信に加入します。

例えば、夫が2,000万円、妻が2,000万円を借りている場合を考えてみましょう。

一般的な団信で夫に万が一のことがあった場合、夫が借りた2,000万円分は完済されます。

しかし、妻が借りた2,000万円分はそのまま残るため、妻は自分の住宅ローンを返済し続ける必要があります。

最近では、夫婦のどちらか一方に万が一のことがあった場合に、夫婦両方の住宅ローン残高が0円になる「ペア団信」や「連生団信」を取り扱う金融機関もあります。

ただし、通常の団信より金利が上乗せされる場合があるため、保障内容と費用の両方を比較しましょう。

団信と一般の生命保険は何が違う?

団信と一般の生命保険では、保険金の使われ方が異なります。

団信では、保険金が金融機関へ支払われ、住宅ローンの返済に充てられます。

一方、一般の生命保険では、契約で指定した受取人が死亡保険金を受け取り、生活費や教育費などに使えます。

つまり、団信は主に「住宅ローンを守る保険」、一般の生命保険は「残された家族の生活を守る保険」と考えると分かりやすいでしょう。

住宅ローンを契約して団信に加入した後は、現在加入している生命保険の死亡保障が多すぎないか確認することも大切です。

ただし、団信に入ったからといって生命保険がすべて不要になるわけではありません。住宅ローン以外に必要な生活費や教育費を計算したうえで見直しましょう。

まとめ

団信(団体信用生命保険)は、住宅ローンの契約者が死亡した場合や、所定の保障条件に該当した場合に、保険金によって住宅ローン残高が返済される仕組みです。

民間銀行の住宅ローンでは加入が条件となる商品が多い一方、フラット35のように、団信へ加入しなくても利用できる住宅ローンもあります。

また、団信には基本的な死亡保障だけでなく、がん団信、三大疾病団信、八大疾病団信、ワイド団信、ペア団信など、さまざまな種類があります。

住宅ローンを比較する際は、金利だけを見るのではなく、団信の保障内容まで含めて比較することが大切です。

・どのような状態が保障対象になるのか
・住宅ローン残高の全部が保障されるのか
・追加の金利負担はいくらか
・夫婦で借りる場合はどこまで保障されるのか
・現在加入している生命保険との重複はないか

こうした点を確認し、自分と家族に必要な保障を選びましょう。

家は家族が安心して暮らすための大切な場所です。

団信について正しく理解しておくことは、住宅ローンの返済だけでなく、万が一の時にも家族の暮らしを守ることにつながります。

参考資料・出典

金融庁、国土交通省、総務省統計局、住宅金融支援機構(フラット35)、各金融機関の公開情報などを参考にしています。

※本記事は公開情報をもとに作成しています。

制度や金利、税制などの内容は変更される場合がありますので、最新情報は各公式サイトをご確認ください。

コメント

このブログの人気の投稿

住宅ローン審査が不安な人へ|銀行が確認するポイントを解説

日本で家を買うならマンション?戸建て?それぞれのメリットとデメリットを調べてみました

住宅購入で忘れがちな「諸費用」とは?本体価格以外にかかるお金を把握しよう

毎月払っているのに、なぜボーナスでも引かれる?手取りが少なくなる仕組み

住宅ローン控除でいくら戻る?私が最初によく分かっていなかった仕組み

頭金はいくら必要?住宅購入で後悔しないための考え方

持ち家と賃貸、どちらが得?ライフスタイル別にメリット・デメリットを比較

住宅ローンを調べていて気になった「フラット35」って結局どんなローン?

火災保険は2年更新だと思っていた。賃貸と持ち家で違う契約期間の話

年収別に見る住宅ローンの借入可能額と無理のない返済ライン